どーもー! 守屋です。
毎日毎日、納期に追われております。
今やっと、ひとつの案件の塗装が終わり、乾燥待ちの間にブログを書いてます。
この案件も、こちらが提示した納期よりも20日程も短縮して欲しいと言われ
フラフラです。
こないだのデッドプール像の時ももそうやったが、何でこう見積もり時の希望製作期間を
無視されるんですかねぇ。。
こんな納期の無い案件に限って細部の変更がたて続きに。
パソコンの画面上で変更するかの如く簡単に申し付けられます。
造型は一つの変更で、丸一日かかる事がほとんどなのに。
おかげさまで、曜日や時間の感覚が全くございません。
珍しく仏のワタシがブーブー文句連発であります。
さて、それはさておき。
先週、弊社へテレビの取材が来られた分の放送が今朝ありました。
関西では人気の朝の番組「おはよう朝日です」 の
「和牛の社長調査隊」というコーナーで取材がありました。
このコーナー、お笑いコンビの「和牛」が超有名な商品や企業の社長さんの下を訪れ
成功の秘訣や、座右の銘などを調査するというもの。
ワタシも朝はこの番組見ながらメシ喰ってるんで、良く知ってるコーナー。
かなり有名な大企業の社長さんが登場し、毎回、物凄く心に残る深イイメッセージや
成功へのプロセスなどを仰ります。
最初、局からこのコーナーの取材申し込みの話をワタシが受けた時、
正直 「何でウチみたいな弱小な会社に取材を・・・」と驚いたと同時に、
「エライこっちゃ!はよ社長に取材の事を伝えて座右の銘の一つでも考えといて!」と
伝えないといけないと思った。
何故なら、ウチの社長、座右の銘どころか、コレといった経営方針も一度も聞いた事が無い位の
「なりゆきまかせ主義」 だから。
こんなユルい会社である事が世間にモロバレではないか!
いくら関西ローカルとは言えどもコレはアカン。
早速、社長に番組内容と事情を伝え、皆が感動する座右の銘の一つでも考えておく様、懇願。
「フンフン、解ったー。」 とスマホをイジりながら生返事の社長。
ワタシもこの会社に永い事お世話になっているので、社長の返事の仕方で大体が解る。
「あ~コレ、社長 何も考える気無いわ、アカン。」 と察すワタシ。
案の定、今朝の放送を見て予想的中。
和牛の二人に経営方針を聞かれた社長。
「何も考えない事ですわ~」
とキッパリ。
嗚呼、やっちまった・・・。
思った通りの展開。
嘘でもイイから、こんな時くらいチョット感動すること言ってよ社長・・・。
まぁエエか。
ウチの会社らしくて。
いや、アカンアカン!
皆さん、この社長の「何も考えないことですわー」という言葉の意味、実はとても
深イイ言葉なのですよ。
ワタシなりにこの社長の言葉の本当の意味を翻訳(弁解?)いたします。
人間の生き方には色々な道がございます。
よくある生き方に、「大きな夢を抱き、それに向けて努力せよ」という考え。
そう念じて頑張れば早かれ遅かれ夢は必ず叶うもの。という考え。
確かに。
でもウチの社長の考えは
「日々、時代は変化するもの。一つの夢を追うより、今の瞬間に柔軟に対応できるかどうか?」
大きな夢をもって、今現在を犠牲にしてでも、その夢に向かって努力しても
なかなか報われない この世の中。
だったら今、時代が、世間が求めているものを的確に嗅ぎ取り、後先なにも考えず、
今まさにそれを全力で造り、提供する。
それが次ぎ(未来)に繋がる。
といった考えなのです。 多分。
それらを一言でまとめ過ぎて 「何も考えないことですわ~♪」 てな事になってます。
これでご理解頂けたでしょうか? 実はイイお言葉なんですよ。
(※実はホンマに何も考えていない確率は65%以上。 実にスリリングで楽しい会社です。 てへ)
でもね・・・。
ホンマになりゆきまかせの社長なもんやから、ウチの社員達は大変です。
ある意味、社員一人ひとりが社長であるかの如く深く考えながら作業をしています。
ま、社長は反面教師って事で考えないと、普通の会社の社員の様に、何もかも社長や上司任せで
やってるとエライ目に遭いますんでネ。
だからウチの職人達は素晴らしい技術でそれらの「なりゆき」に柔軟に対応する技を身に付けています。
でもまぁ、こんな会社でも番組の制作会社の目に留まって取材の申し入れが有るんやから
何か他の企業とは違うオモロイ匂いがするんでしょうな。
物凄い長い前置きになってしまったので、今回の製作日記はサラッと行きましょ。
ウチの会社、キャラクターなんかの注文が物凄く多いけど、
それらは大体 一体のみの発注。
たまに大きな企業さんなどから一度に複数の発注を頂くこともあります。
今回のケースは5体の発注です。 おーきに。
今回は名古屋の建設不動産屋さんのキャラクター「タイセーくん」です。
恐らくキツネさんのキャラクターだと思います。(違ったらゴメンナサイ)
帽子は何と家型をしております。
だいたい、この様な企業キャラクターやゆるキャラってのは、最初に着ぐるみが製作され、
イベントなどで既に活躍しているので、製作用の資料として元のイラストと、
着ぐるみの写真を大量に頂くことが多いのですが、この着ぐるみが
実は造型フィギュアを造る上で、かなり厄介な存在となります。
着ぐるみは概して、元絵のイラストと比べると「似てない」事が多いのです。
しかも人が着て演ずる訳ですから、体型などはイラストとは程遠い形で作られています。
さらに追い討ちを喰らわすかの如く、その「似てない」着ぐるみが先に世に知れ渡って
いるもんやから、元絵のイラストの存在より、着ぐるみのイメージが定着してしまっている。
この様なケースの場合、ウチでは先ず発注元に、「どちらのデザインで製作しますか?」
と聞いてから製作を開始します。
でないと、原型を製作する職人は混乱します。
今回も例外に無く、両方の資料を渡されましたが、キッパリと「イラストに似せてください」
という事でしたので、かなりやり易いケースでした。
最悪な場合、「両方のイイとこ取りでお願いしまぁ~す!」なんて事も。
仕方ないんで、それはそれでやりますが。 ・・・かなり時間を取られます。
そんなこんなでスチロール原型もサクっと完成。
監修のあと、表面に樹脂を吹き付け研磨し、ツルツルに磨き、細部もしっかり造り込みます。
今回は量産なので、この原型を型取りし、量産用のメス型を製作します。
簡単で単純なデザインのキャラクターだと思ったら大間違い。
手や尻尾などバラバラに分割してから型取りしないといけません。
型は合計8面あります。 ↓↓
この型の内側からFRPを貼る。
凹凸が多いので、貼るガラス繊維のマットが浮き上がらない様に丁寧貼っていきます。
素人がやると型から抜いた時、大量の気泡が表面に出来、月のクレーターの様に
なってしまいます。
バラバラに型から抜かれたパーツを組立て、型の合わせ目に出来た小さな段差の
スジや小さな気泡などもパテで綺麗に埋め研磨します。
この工程は仕上がりを左右する大切な作業です。
(白い部分がパテを盛られた部分です)
全体のパテ埋めと研磨が終わると、次は表面全体にサーフェーサーという下地剤を吹き付け
細かなキズや目に見えない様な気泡を埋めてしまいます。
サーフェーサーを吹き付けた後は、更に目の細かいペーパーで磨き上げます。
次の工程、「塗装」の仕上がりにも左右するのでスベッスベに磨かれます。
いよいよ最終工程の塗装です。
ここは流石にアルバイトさん達には到底出来ない作業です。
熟練の技で望みます。
最後の最後にトップコートのクリヤー塗装を施します。
テッカテカに塗り終えられたタイセーくん達。
台座にセットされいよいよ完成!
見よ!この濡れた様な美しいツヤを!
他社の造型品と見比べて頂くとクオリティの違いがお解かり頂けると思います。
社長の思想の基、「何も考えず」に塗っても、さすがにこうは仕上がりません。
コレだけは職人達が考えに考えぬいて編み出した熟練の技です。
後ろも抜かりは御座いませんよ。
余りのテカテカに周りの風景が全部映り込んでます。
今回のブログでだいたいウチの会社がどんな会社かお解かり頂けたかと思う。
お察しの通りのユルい社長とユルい社員から織り成されるスペシャルな造型、
それが「ポップ工芸」なのである!!
ではまたスペシャルな製作ブログを書きますのでお楽しみに♪