前回に引き続き、兵庫県福崎町の妖怪シリーズのネタを書きますよ。
今回紹介するのは、言わずと知れた福崎町を一躍有名にした、
池から出没する河童の「ガジロウ」。
このガジロウは実は今回のを含め、計3回リニューアルしています。
最初のはコレ ↓↓
我々は「初号機」と呼んでいます。
サンドベージュを基調としたプレデター風の塗装を施したもの。
この初号機の貢献は凄まじく、知名度、訪問者数の乏しかった福崎町を
一気に有名にした名器であります。
全てはこの初号機から始まりました。 今見ても恐ろしい顔をしとります。
その後、塗装の劣化を理由に(水中では物凄く塗装が痛みやすいのです)、
スペアのマシンとして製作したのが、この2号機。 ↓↓
初号機をそのまま複製してはつまらない、って事で全面リニューアル。
日本民俗学の父、柳田國男の著書「遠野物語」に記されている河童に基づき
全身 真っ赤に変更。
オマケに尻子玉(河童に抜き取られるという架空の臓器)を食べようとする、
これまた恐ろしい仕様に変更。
(ちなみに、この「ガジロウ」が出没するこの池は柳田國男氏の生家のすぐ横に位置します。)
この「赤い河童」がまたまた噂になり、各メディアで取り上げられ、この池を訪れる観光客は益々増加!
その勢い、海外にも及びます。
その後、数年間何度かメカトラブルに見舞われましたが、人形本体の劣化は少なく、
この2号機は一日8時間の勤務を休まず遂行してくれました。
ホントご苦労様でした。
そして遂に福崎町の小川サンより第3形態の案が上がったと連絡が。
今度は尻子玉ダブルで喰って体の色はやっぱグリーンかなぁ・・とか思ってましたら
こんなフィギュアが送られてきました。 ↓↓
んっ!?顔がまるで違う・・。。
「小川サン、コレ何ですの?」 と聞けば
「あ~、それ子供の河童なんよ」 と。
「既存のガジロウの両サイドにくっ付けようと思ってねー」
なるほど。 河童を繁殖させるつもりなんやな。
でもあまりにもガジロウと顔の表現が違うんでモヤモヤしながら製作開始。
違和感無いかガジロウの原型をヨコに並べ比較。
「どう考えても血縁の親子には見えない・・」
さすがにコレは違いすぎて小川サンに報告。
「小川サン、色々やってみたけどダメだわ、このデザイン。」
「赤の他人だわ」 と告げますと
早速別案が送られてきました。 ↓↓
あ、コレなら違和感無いわ、って事で本番の製作を開始。
小川サンにしたら、ここらで一発、大きな革命的なデザインの変化が欲しかった様で、
斬新なデザインを起した様です。
常に1歩、いや 5歩くらいブッ飛んだトコで物事を考えてはる方であります。
なのでこの様に我々がブレーキを踏んであげないとテポドンに乗って銀河の彼方へ
飛んで行ってしまいます。 危ない危ない、今回は何とかセーフ。
このやり取りで、作業が2週間ほど遅れてしまったので急ピッチで原型製作。
基本、左右対称で同じポーズとの指示でしたが、金剛力士像の「阿吽」に基づき
向かって左側は開口、右側は口を閉じる仕様を提案しました。
そして小川氏は今回も頭髪は「植え込み式」で、と熱望されおりますので下穴を開けます。
いよいよ塗装です。
今回は幼い河童のイメージなので親河童のガジロウより優しく柔らかい色調で行います。
その前に眼球の塗装から・・・。
ベースのオフホワイトをしっかり塗ってから皮膚の模様をエアブラシで描いて行きます。薄い色から段々濃い色を重ねて・・。
遠山の金さんの桜吹雪のもんもんみたいです。
公衆浴場やプールは出禁ですな。
一生、池で暮らして頂きましょう。
ほぼ完成。
もう少し濃い目のシャドーを入れて出来上がり♪
色を入れ終え、最後に大量のクリヤー塗装を重ね塗りします。
それはもう、重ねて重ねて重ねまくってブ厚い層を造り、ドロ沼の水に耐えれる様にします。
この作業を怠ると、強靭と言われるウレタン塗装でも、いとも簡単に剥がれ始めます。
更に灼熱のライトで焼き付けて強制硬化させます。
その姿、まるで地獄絵図。 分かっていても結構怖し。
で、めでたく完成しました子河童ブラザーズ、早速福崎町役場、地域振興課へ納入です。
なぜ池の取付け現場で無く、役場に納入かと申しますと
原型のモタモタで2週間の遅れを取った代償として、小川サンが自ら「植毛」をして下さるとの事。
これは我々ポップ工芸チームにとっては願っても無い幸福。
だってあのガジロウの頭髪を全て植付けるのに2人掛かりで丸2日半かかるからなのだ!
いや~これはラッキーです。
植毛施術後、小川サンが一言、
「あんなモン2度と出来るか!大変にも程がある」
「こんな大変な仕事、もう頼まないから安心して」
と言ってましたが絶対ウソです。
次回のもガッツリ植えてくれ!と言ってくるのは目に見えてます。
鬼軍曹。
さ、いよいよ完成し設置です。
予め池の水を半分抜いて準備完了。
通常、池の底に沈んでいる二代目ガジロウが泥だらけで現れました。
この二代目ガジロウは取り外され、赤く塗り直された初号機ガジロウと交換バトンタッチです。
普通~に池に入って作業している様に見えるけど、実はこの池には物凄い量の泥が堆積しており、
リング型の金物が見えると思うけど、この下のみコンクリートの基礎が有り、
その範囲から一歩でも足を踏み外すと底無し沼に引きずり込まれ、冗談抜きで溺れ死にます。
ここだけは、ふだん冗談の集合体の小川サンも、一切ワタシとは目を合わせず
「守屋サン、悪いけど溺れても助けに行けない池やから有事は自己責任で・・」
と恐ろしい言葉を頂いて作業しておりました。 ひぃ~っっ!!
取付けが終わり、再び池に水を注ぎます。
その姿、ターミネーターのワンシーンの様。。
その後、重量バランスのセッティング、エアー供給量の微調整も終わり、
改めて三代目Jソウルブラザーズガジロウに生まれ変った!!
小川サンはこの子供河童、ガジロウの子供で既に名前も決めていたが、
それは一旦破棄し、新たな名前&誕生ストーリーを募集しているとか!
↓ クリック ↓
締め切り間近なので、妄想癖に自信の有るアナタ!
面白い名前&誕生ストーリーを書いて応募して、何をやっても満足できない可哀想な小川サンを
笑わせてやってくれ!!!
いよいよゴールデンウィーク本番!
USJもイイけど死ぬほど混んでるよ!!
そうだ!皆で福崎町へ行こう!
ではまた次もパート③で福崎町妖怪を紹介しますよーー!
では皆様、よい休日を!