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福崎町の天狗 妖怪天国

どーもー  守屋です。

前回、DEADPOOLの製作ブログ書いたら、公式サイトで紹介してくださったり、

皆さんSNSで拡散してくださったりで、最大、通常の15倍ものアクセス数にまで跳ね上がりました。

有り難や有り難や~♪

20世紀フォックス社さんには、もう足向けて寝れないわ。

ホントありがとうございました。

DEADPOOLアドトラックも残す所あと3日ほどの運行です。

関東地方の方は探し回ってちょーだい!

 

さてさて興奮覚めやらぬ状態でお次の造形の紹介しまひょ。

「兵庫県福崎町」と聞いてピン!と来た方も多いはず。

そう、池の中から河童が現れるヤツ、テレビなんかで見たことあるでしょう?

二号機取り替え (78)

コイツね。

テレビ取材とかメディアに取り上げられた事、数知れず。

ナニコレ珍百景でアワードを獲得するなど、全国を暴れに暴れました。

福崎町という小さな町ですが、この河童見に訪れる人はあとを絶ちません。

経済効果は計り知れないそうで、次から次に弊社へ妖怪の造形の発注を下さります。

そもそも、これらの企画の発端は、ここ福崎町役場の地域振興課の小川氏。

この小川氏、昨今流行の「ゆるキャラ」をこよなく嫌い、あんなモン、クソ喰らえと一蹴。

気持ち悪いけど、ちょっとカワイイ、「キモカワ」というものが世間を賑わせ始めた頃、

小川氏は 「んなモン、甘い甘い。アカン!」

       「これからはキモキモの時代や!!!」 と、フガフガ言っておりました。

当初、ワタシはこの小川氏の自論に「??」でした。

だって「くまモン」や「ひこにゃん」が全盛期の時ですよ。

地方自治体など、どこも長い物に巻かれるのが普通でしょ。。

だから、世間にゆるキャラが大繁殖してる訳で・・。

まぁ、ウチとしては造形のお仕事が頂けるのですし、小川氏が鼻息を荒げようが

ゆるキャラを批判しようが、正直どうでも良く、請けたお仕事をキッチリ納めようと、

小川氏と河童造形の打ち合わせ。

小川氏がおもむろに箱から 「コレなんですわ。」  と差し出したのが、

かなりよく出来た粘土ミニチュアの河童。

「へぇ~・・。 こんなの事前に業者に造らせはったんですか?」 と聞くと

「いえ昨夜、徹夜で造ってきました」  と。

  

何を隠そう、この小川氏、相当な腕前のモデラーである事が後々発覚。

過去の作品やらを見せてもらうと、、恐ろしいクオリティのガンプラや、オリジナルの

作品など、完全にプロ。

そりゃ変わった思考回路してはるハズやわ。

となると、こちらもヌケヌケとしてられませんがな。

厳しい小川氏の監修のもと、必死で河童を製作。

鬼の小川氏もこちらの製作する河童の出来栄えに大変喜んでくださり、

もう、小川氏とワタクシ守屋は切っても切れない変態コンビとして現在に至ります。

 

どーでも良い前置きはこれくらいに。

この河童の実績が功を奏し、めでたく予算が下り、次の企画を小川氏から頂く。

「次は天狗飛ばしますんでよろしく~♪」  と、 まるで

また来週呑みにいきましょー。  くらいの軽いノリで、とんでもない事をヌカす小川氏。

もう、あの人の脳はどうなってるのか解らない。ギャラクシーな脳である。

で、今回も早速コネコネと小川氏がミニチュアを造ってきた。

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何やねんコレ?  髪の毛 逆立っとるがな。  ↑↑

 

コレ、何やってるポーズ?  と小川氏に聞くと、

「あ~ それ、逆さまに吊るんよ」 と。  ↓↓

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本来は当然、羽根をパタパタさせて飛ばしたい所なんやが、さすがに福崎町ではディズニーランド程の

資金調達は難しいので、限られた予算の中でのデザインとなります、当然の事ながら。

腕や首の角度などは綿密な打ち合わせの上決定。

右手には福崎町の名産「もちむぎ」を練りこんで作ったどら焼き(実際に販売中)を持たせ、

さりげに物販を意識した欲の塊の像である。

 

ではここからがウチのお仕事。

煮詰まったミニチュアを基に、それを等身大の像へ。

原型は今回も発泡スチロールからの削り出し。

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この天狗は何故か「鬼瓦」にぶら下がっている設定。

「何故」と理由を小川氏に聞いても、「ゴニョゴニョゴニョ・・・」と誤魔化す。

何度聞いても「ゴニョゴニョ・・・・」

多分、ただの思い付きで設定したんやと思う。

ギャラクシーでギャランドゥな脳の彼の発想にこれ以上突っ込むのはご法度。

指示の通りに原型を製作します。

出来上がったボディ部分を福崎町役場の会議室に持ち込み、サイズ感や修正箇所が無いかを協議。

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議長は河童氏に任命↑↑

福崎町PR用の映像を収録するのにウチで製作した着ぐるみバージョンンの河童です。

散々酷使され、開いた瞳孔が元に戻らないくらいにお疲れの様です↑↑

目線がロンドンとパリを同時に眺めておられます。ご愁傷様。

 

無事に一次監修を終え、引き続き製作は続く・・・

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企画当初、重量の問題から(ワイヤーで吊るため)羽根は出来るだけコンパクトに設定してくれ、と

小川氏に懇願して↑↑の様なデザインで一旦は決まったんやが、小川氏はこの画像を見るなり

「もぉ~っと大きくしてぇ~!」と。

小川はん、聞いてましたか?  今回は重量の制限があるのですよ?

最も重量が発生する「羽根」は小さくせんとアカンのですよ、と諭すと

「もぉ~っと大きくしてぇ~!」  しか言わない5歳児に憑依。

アカン、こうなったら企業努力しかない。

仕方無しに氏の希望する形に変更。

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各所、グラム単位での減量で取り戻すしかない。

内部金物の設計から全て洗い直し!

 

内部金物を仕込む為、一度バラバラにされる天狗。

犬神家の一族の如く作業場に放置される下半身。↓↓

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通りがかりの人達は、毎回ウチの工場で何が造られてるのか不思議で仕方ないでしょう。

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出来上がったスチロール原型に内部金物などを仕込み、表面をFRPでコーティングし

表面のディテールを造りこんでいく・・・

 

この段階で天狗の頭に植毛するウィッグの色の色合いを小川氏に相談。

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ウィッグを持つ自分の顔の疲れ果ててる事に気付く。↑↑

そりゃそーだわ、この頃、この天狗とDEADPOOLの製作を同時進行してたのでヘロヘロ。

極度の疲労から頭おかしなって天狗用に取り寄せたウィッグを試着し始めるワタクシ守屋↓↓

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スタッフ達が似合う似合うと言うから、調子に乗って色違いも試す始末↓↓

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ロン毛ウィッグ初体験で興奮し、隣にいた水内クンにも装着させる↓↓

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  「あれ?・・・・。」

ヤバい。どっかの心理教の教祖様にあまりにも似てたので興奮 興醒め。

アカン、アカン。見ちゃいかんものを見てしまったかの様に、そそくさと 皆 作業に戻る。

     ゴメン、水内クン。

 

マジメにお仕事しましょう。   とか言いつつ、あのヅラ、社長にも被せたかった。・・・後悔。

全く懲りてません。

 

 

今度こそ真面目に。

お次は塗装。

お目目や口など、いわゆる小物から。

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塗り終えた部分をマスキングし肌の塗装。

先ずは下地の塗装。

今回の天狗は例外に無く「赤い肌」。

だけど下地の色は普通~に肌色から。

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そのあと赤系を入れていく。

先ほどの肌色が皮膚の透明感を与えてくれます。

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巧く この肌色を残しつつ数種類の赤色を重ねて行きます。

塗る色の順番を間違うと、一瞬で色味がくすんでしまう。

絶対に濁ったりくすませてはいけないのです。

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今回は設置場所が屋外なので、塗装中の物を屋外に出し、太陽光のもとで色味のチェックをします。

通りがかりの子供達やご老人の方にはちょっと刺激が強すぎる光景やな。

 

 

小川氏のこだわりの羽根。

カッコ良く塗りまっせ~!

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多くの謎が込められた鬼瓦もバッチリよ。

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各所のツヤの調整をします。

 

塗装はコレで完了。

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次に福崎町の造形の特徴、小川氏の最も拘る部分「植毛」。

小川氏、前回の河童の時もそうやったんやが、とにかく植えたがります。

そのままウィッグを被せると仕事は早いんやが、そこは小川氏は許してくれません。

ちゃんと毛の生える角度など考慮し、植毛せんとダメです。

なぜそこまで小川氏はヅラはダメで植毛に拘るのか・・・・。

多分、小川さん本人が、アデランスでは無く、マープ増毛法なんだと思います。

今度、福崎町に行って後頭部をコッソリ調べてきます。

冗談はさておき、ここからは笑えない、気の遠くなる植毛作業。

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下穴を無数にあけ、一束ずつ植えて行きます。

狭い部位などはワタシの様な大男では手が入らないので垣内サンにお願い。

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作業は深夜に及ぶ・・・・。

 

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髪型を考え、毛先をカット。

企業秘密の整髪料で毛並みを固定する。

ただガチガチのスーパーハードな仕上がりでは風になびかないので、そのあたりのさじ加減が難しかった。

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天狗本体、やっと完成。

コレで終わりと思ったら大間違い。

この企画、天狗が小屋から飛び出してくる設定なので、その小屋も造らなきゃならん。

アルミフレームで小屋の骨組みを造る。

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この時点で納品4日前。↑↑

あと3日で小屋は完成するのか???

 

 

焼き杉板をフレームに貼っていき

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そのままでは、ただの和風の新築なのでエイジング塗装で古ぼけた感じを出す。

植毛に続き、これまた作業は深夜に及ぶ・・・。

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何とかかんとか納品日に間に合った。

ある意味、DEADPOOLの製作より納期的にはヤバかったかも。

 

 

取り付け当日。

FRP製の茅葺き屋根を現場にて組立。

扉の開閉のモーターやらセンサーやら組み込んで。

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設置場所へクレーン車にて移設。

 

小屋の重さ600kg!!!!!

200kgくらいと思ってた。

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小屋の設置が終わり、ワイヤーに天狗を取り付けが終わった頃は、もう辺りは真っ暗。

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翌朝から細かなセッティングが待っています。

 

ワイヤーはこの様な とんでもない重量のウェイトでピンピンに引っ張られています。

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天狗の飛行(移動)や小屋の扉の開閉などは、こんなスーパーコンピュータ京モドキで制御されます。

スゴイだろー!

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今回の製作の様子はテレビ局が密着取材してました。

最後の作業、「天狗の梱包剥がし」をを番組的に除幕式と捉え、剥がす瞬間を撮影されました。

取材陣より、「除幕は製作者の守屋さん本人の手でお願いします。」 といわれました。

いやいやワタシ、大の高所恐怖症なんですけど・・・。  と言う間もなく高所作業車のゴンドラへ押し込まれ

空中高くぶら下がる天狗のもとへ・・・・。

除幕

高所とか言ってるけど、ほんの4~5mのとこなんですけどねー。

ワタシにとってはスカイツリーの上で作業してるのと一緒。

撮影が入ってるので真面目な顔で除幕しておりますが、もうウ●コもらしそうなくらい怖いのです。

あ~ヤダヤダ。

 

何とか命がけの除幕も終わり試運転です。

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 このワタシを散々苦しめた天狗さん。

記念撮影

毎回、福崎町の案件は本当に気苦労が多いです。

でも自分にとってはカワイイ息子の様なもの。

皆さんに愛されて欲しいものです。

 

もう、来月も福崎町さんから次の妖怪の製作依頼がきております。

小川氏、次はどんな要求をしてくるのでしょう・・・・?

あまり酷い要求の場合は、彼のヅラを引き剥がしてやろうと思います。

 

この天狗や河童の稼動の様子はYouTubeで 「福崎町 天狗」 とか 「福崎町 河童」 とかで検索してみて。

イヤになるくらいアップされてるから。

あと、河童の着ぐるみが登場する超オモロイ福崎町のPR映像もあります。連ねて出てきますので是非見てあげてください!!

あと、全国妖怪造形コンテスト  てのも開催されてます。

http://youkaizoukei.town.fukusaki.hyogo.jp/index.html

これで3回目の開催です。

造形に興味ある人、奮って参加ください!  賞金もあるでよ。

 

ではまた!